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■サソリ■
09/08/2002


■サソリ■

先日十年以上も前に手に入れたまま全然読んでいなかった
北杜夫の「輝ける碧き空の下で」の第一部の上巻を読みました。

続きが読みたくなり下巻を日本で探しましたが見つかりませんでした。

この小説はブラジルをメインとした南米移民の話です。

ひよんなことから本棚の奥から第一部の下巻を見付けてしまい
読み始めました。それが午前0時で午前2時半には目が見えなくなってきたので眠りました。
下巻本文全414頁中356頁まで一気に読んでいたので第一部についてはほぼ終わりというところでした。

この第一部のピークは解説文にあったとおり
平野開拓地におけるマラリアでバタバタ開拓民が死んでいったり、その後はバッタと冷害による被害の箇所ではないかと思います。

さて色々な夢でうなされていたわけなのですが突如として”キリキリ”とする激痛を感じるようになりました。

それも夢の続きだと思っていましたがどうやら現実の痛みであることが判明しました。

しばらくベッドの上で朦朧としながら、「ここまま寝続けよう」という気持ちと
「そんな悠長な事を言っている場合ではない」という気持ちが喧嘩していました。

かなりダラダラしているうちに意識がはっきりしてきました。

どうやら疼痛部はお尻、それも肛門に近い部分であることがわかりました。

パンツの上から恐る恐る触ってみると激痛が走ります。

それでもこのまま寝てしまおうという気になりました。

時計を見ると午前5時半でした。

しかし痛みが激しくなるので仕方なく浴室に行きパンツを下ろして見ると

体長3cm程のサソリが床に落ちました。

早速そのサソリは足で踏みつけてぺしゃんこにしてしまいました。

以前で台所で見付けて踏み付けてぺしゃんこにしたサソリと同種のサソリでした。

つまりアパートの自宅でサソリを見付けたのがこれで二回目になります。

仕方がないのでスプレー式のムヒ(カユピタ・クール)を肛門あたりに向けて当てずっぽうに噴射させました。

それからベッドに横になりましたが、患部だけでなく肛門の周りがヒリヒリしてきて変な気持ちになってきました。

それとは別に、もしあのサソリが毒サソリだったら・・・とか考えるようになりました。

強弱は別にしてサソリなんで刺された際に注入されたのは毒であるに違いないと思いました。

運が悪ければこのまま死んでしまうかも?と冷静に考えました。

患部がお尻なんで毒が心臓や脳に回ってくるまでまだしばらく時間はあるだろう
とか、このままこんなところで死んでしまっていいのだろうか?

潰れた千代田生命の後の保険会社は生命保険を払ってくれるのだろうか?

やり残したことは何と何があるのだろうか?

等々かなり冷静に後処理について考えました。

そうこうしている内に患部の激痛も無視して眠りに落ちました。

そして迎えた日曜日の朝、コーヒーの飲みながらこれを書いています。

まだまだ患部はヒリヒリしていますが発熱したり嘔吐したりという事態には陥っていません。

そもそもサソリに刺された時の症状ってどんなものなのか知りません。

ネットで色々と検索しましたがあまり有効な情報を得るには至りませんでした。

 と呑気な内科医みたいなことを言っています。

数日後に私がこの世から姿を消したらそれはサソリの毒が原因だと思います。

取り敢えず遺言代わりに連絡しておきます。

[付記]

 昔、入社したての頃、社報(当時の事業部報)のアンケートに

  [十年後について]という項目があり

  その回答に

    [客死]と回答したことを憶えています。

  客死は客死でも夜中にサソリに肛門付近を刺されて死んでしまうのは
  あまりにも間抜けな死因であると思いました。

  極稀に体調を崩した時など真夜中にこのまま孤独のうちにこの世とおさらばしてしまうのか?

  等々弱気になりつつも改めて”死”というものと対峙するわけです。

  大袈裟かもしれませんが歯医者でさえ(行かない・行きたくない・行けない)現状なので
  無知&対応の遅れが原因でそのまま現世に帰ってこれない可能性もあるわけです。

  それは天災、強盗、虫刺され、病気、怪我だけでなく砂漠の一本道で
   車が壊れただけでも起こり得る可能性があるわけです。

 



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